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霰降る深山の里は朝夕に
眺むる空もかきくらしつつ

歌の意味
霰の降る深い山里では、朝も夕も、眺める空がずっと暗く曇っている。
鑑賞
第三部 総角

 匂宮の時雨の歌に対する中の君の返しである。都の時雨に対して、宇治は霰の降る深山であると答え、隔たりの大きさをさりげなく示している。待つばかりの日々のうちに年は暮れ、大君の病はいよいよ重くなっていく。

 「霰」は冬の激しい天候を示し、相手の「時雨」よりも厳しい山里の気候を対置する。「かきくらす」は空が暗くなる意と、涙で目の前が暗くなる意とを掛ける。同じ空だという相手の言葉を、こちらの空はいつも曇っていると受け返しており、都と宇治との落差が天候の違いによって語られている。

霰:氷のつぶが降るもの。

深山:奥深い山。

眺む:物思いにふけって見る。

かきくらす:暗くなる。涙にくれる。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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