- 歌の意味
- 紅の血の涙が落ちても甲斐がないのは、形見となる喪服の色に染めることができないからなのだ。
- 鑑賞
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第三部 総角
大君が亡くなり、薫は深い悲しみに沈む。しかし正式の夫婦ではなかったため、喪服を着ることも許されない立場であった。薄紅の直衣のままで喪に加われぬ自分を思い、こぼれる涙を見つめて詠んだ歌である。以後、薫は生涯この喪失を引きずっていくことになる。
「くれなゐに落つる涙」は悲しみの極まったときに流すという血の涙のこと。「かひなし」は甲斐がないの意である。血の涙ならば衣を紅に染めるはずだが、いま必要なのは喪服の墨染であって紅ではない、という理屈で嘆きを述べる。制度が悲しみの表現を許さないという、この巻ならではの痛切さがある。
くれなゐ:紅色。血の涙をいう。
かひなし:効き目がない。
形見:亡き人をしのぶよすが。
染む:色に染める。
- 作者
- 紫式部
- 出典
- 源氏物語
- その他の歌