- 歌の意味
- 後れまいと、空を渡っていく月を慕うことだ。いつまでも住み続けられるこの世ではないのだから。
- 鑑賞
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第三部 総角
大君を失った薫が、夜空の月を眺めて詠んだ独詠である。亡き人の後を追いたいという思いと、この世の無常への諦めとが入りまじっている。出家の志はいよいよ強まるが、現実には中の君の後見や宮仕えの務めがあり、薫は世を離れることができないままである。
「おくれじ」は後に残されまいの意で、亡き人を追う気持ちを表す。「空ゆく月」は西へ沈んでいく月で、亡き人の魂の行方を思わせる。「住む」に「澄む」が掛かり、月の縁語となる。澄んだ月を慕う心がそのまま浄土への志と重ねられ、薫の宗教的な傾きが鮮明になる一首である。
おくる:後に残される。
慕ふ:恋しく思って後を追う。
住む:「澄む」を掛ける。
この世:現世。
- 作者
- 紫式部
- 出典
- 源氏物語
- その他の歌