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袖ふれし梅は変はらぬ匂ひにて
根ごめ移ろふ宿やことなる

歌の意味
袖を触れた梅は変わらない香りなのに、根ごと移っていく宿の方が違ってしまうのだろうか。
鑑賞
第三部 早蕨

 中の君の梅の歌に対する薫の返しである。花は変わらないのに、住む人が根こそぎ移ってしまうと述べ、宇治を去る相手を惜しんでいる。翌日、中の君は二月七日に二条院へ迎えられ、匂宮から手厚くもてなされることになる。宇治には老女房の弁の尼だけが残り、薫は山荘を寺に改める計画を進めていく。

 「袖ふれし梅」は袖が触れて香が移った梅で、古歌以来、人と人との縁を思わせる言い方である。「根ごめ」は根こそぎ、根ごと。「移ろふ」は移り変わることで、相手の歌の「昔おぼゆる」を受けつつ、変わるのは花ではなく人だと切り返している。梅


宿と語をたどるうちに、住み替えという出来事が、そのまま人の心変わりへの危惧に重なっていく。

袖ふる:袖が触れて香が移る。

匂ひ:香り。

根ごめ:根こそぎ。根ごと。

移ろふ:移り変わる。

宿:住まい。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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