眺むれば山より出でて行く月も
世に住みわびて山にこそ入れ
- 歌の意味
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考えてみれば、山から出て空を渡っていく月も、この世に住みづらくなって山に帰っていくのだ。
- 鑑賞
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第三部 早蕨
宇治を離れて都へ向かう道すがら、また二条院に移ってからの夜に、中の君が一人で詠んだ歌である。長く暮らした宇治の山を出て都へ移る自分の身を、山から出て空を渡り、また山へ沈んでいく月に重ねている。都での暮らしが思うようにいかなければ、また宇治へ戻ることになるかもしれないという不安が言外にある。実際に中の君は二条院で匂宮から大切に扱われるが、やがて六の君との縁組をめぐって苦しむことになる。
「住む」に「澄む」を掛け、月の縁語として働かせている。月が山から出てまた山に入るという自然の運行に、宇治を出て都に入り、また宇治に帰るかもしれない自分の道行きを重ねる。「住みわびて」は住みづらくなっての意で、都を目前にしながらすでに退路を思っている心の弱さを示す。転居という慶事の場面に置かれた独詠だけに、かえって不安の色が濃い。
眺むる:ながめる。物思いにふける。
出づ:出る。
住みわぶ:住みづらく思う。
こそ入れ:まさに入るのだ。強調。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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