しなてるや鳰の湖に漕ぐ舟の
まほならねどもあひ見しものを
- 歌の意味
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琵琶湖に漕ぎ出す舟の帆のように、まともな形ではなかったが、あの人と逢い見たことはあったのに。
- 鑑賞
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第三部 早蕨
二月七日に二条院へ迎えられた中の君は、匂宮から手厚く扱われて日を過ごしていた。それを知った薫は、中の君を匂宮に譲ってしまったことを悔い、この歌をひとりつぶやく。同じころ、六の君と匂宮の縁組を考えていた夕霧は、二十日過ぎに末娘の裳着を行って薫との縁組を打診したが、薫の返事はそっけなかった。桜の盛りに薫は二条院を訪れて中の君と語り合い、その親しさに匂宮は警戒を強めていく。
「しなてるや」は「鳰の湖」にかかる枕詞で、「鳰の湖」は琵琶湖の古称である。「漕ぐ舟の」までが「まほ」を導く序詞で、「まほ」は舟の真帆と、まともなさまとを掛ける。かつて宇治で中の君と言葉を交わした折を「まほならねども」と振り返り、正式な仲ではなかったが縁はあったのだと言う。悔いを技巧の陰に包む詠みぶりに、薫の屈折した執着があらわれている。
しなてるや:「鳰の湖」にかかる枕詞。
鳰の湖:琵琶湖の古称。
まほ:舟の真帆。まともなさま。
あひ見る:対面する。逢う。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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