世の常の垣根に匂ふ花ならば
心のままに折りて見ましを
- 歌の意味
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ありふれた家の垣根に咲いている花ならば、思うままに手折って眺めることもできるだろうに。
- 鑑賞
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第三部 宿木
薫二十五歳の春、今上帝の女御であった藤壺女御が亡くなり、その一人娘の女二の宮は後ろ盾を失った。宮の裳着の支度が進むなか、帝は薫を碁の相手に呼び、女二の宮を託したい心をそれとなくほのめかす。それに応じて薫が詠んだのがこの歌である。帝はすぐに返して縁組を促すが、薫は乗り気になれず、宇治で亡くした大君のことを忘れられずにいる。
「世の常の垣根に匂ふ花」は、ごくふつうの家に咲く花で、身分の高くない女性のたとえである。皇女である女二の宮は手の届かぬ花だという遠慮を、花を折るという型に託して述べている。「ましを」は反実仮想で、そうであったならという叶わぬ想定を表す。承諾も辞退も明言せず、身分差を理由に距離を置く言い方は、思い切りのつかない薫らしい応じ方である。
世の常:ありふれたさま。
垣根:家の周りの囲い。
匂ふ:美しく咲く。
折る:手折る。妻に迎える意を含む。
ましを:…であったならよいのに。反実仮想。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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