今朝の間の色にや賞でむ置く露の
消えぬにかかる花と見る見る
- 歌の意味
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今朝のわずかな間の色を賞美しようか。置いた露が消えないうちだけ咲いている花だと見ながら。
- 鑑賞
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第三部 宿木
縁組の話が進むなかでも、薫の心は宇治で亡くした大君から離れなかった。ある朝、庭の朝顔を眺めながらひとりつぶやいたのがこの歌である。露よりもさらに短い朝顔の花の命に、はかなく世を去った大君の面影を重ねている。このあと薫は二条院に中の君を訪ね、朝顔に託して自らの悔いを打ち明けることになる。
「置く露」は草花の上に結んだ露で、無常のたとえとして繰り返し用いられる。その露が消えるまでのわずかな時間しか咲かない朝顔を、露よりもはかないものとして見る。「見る見る」は見ながらの意で、花を眺める行為そのものを歌のうちに残す。大君を悼む思いを、季節の景物だけで言い表した独詠である。
今朝の間:今朝のわずかな時間。
賞づ:美しさをほめる。
置く露:草花に結んだ露。
かかる:懸かる。命がつながっている。
見る見る:見ながら。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- 前の歌
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霜にあへず枯れにし園の菊なれど 残りの色はあせずもあるかな
- 次の歌
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よそへてぞ見るべかりける白露の 契りかおきし朝顔の花