- 歌の意味
- むだに草を分けて通った道の露が多いので、昔のことが思い出される秋の空模様であることよ。
- 鑑賞
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第三部 宿木
中の君のもとを訪ねた薫は、思いを抑えきれず袖をとらえて迫ったが、身重の姿を目にして自制し、そのまま帰った。翌日に贈ったのがこの歌である。むだ足に終わった昨夜を、露に濡れた道に託して述べている。中の君はこれを受け流すが、このとき袖に移った薫の香が、後に匂宮の疑いを呼ぶことになる。
「いたづらに」はむだにの意で、思いが遂げられなかったことをいう。「分けつる道の露しげみ」は草を分けて通った道に露が多いことで、露は涙を暗示する。「昔おぼゆる」は、かつて宇治で言葉を交わした日々を思い出すということである。露と秋の空という穏やかな景物の陰に、抑えかねた思いと悔いとが置かれている。
いたづらに:むだに。無益に。
分く:草を分けて進む。
しげみ:多いので。
おぼゆる:思い出される。
秋の空:秋の空模様。
- 作者
- 紫式部
- 出典
- 源氏物語
- その他の歌