- 歌の意味
- ほかの男に馴れ親しんだ袖の移り香を、身にしみるほど深く恨んだことだ。
- 鑑賞
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第三部 宿木
二条院を訪れた匂宮は、中の君の袖にほかの男の香が移っているのに気づいた。薫の香は世に知られた特別のもので、隠しようがない。二人の間に関係があったのではないかと疑って詠んだのがこの歌である。中の君はこれを否定して返すが、匂宮の疑いはこの後も消えず、薫と中の君の交わりはいっそう気を張ったものになっていく。
「また人」はほかの男の意で、薫を指す。「移り香」は衣に移った香りで、薫の身から自然に発する香が、そのまま証拠のようになっている。「わが身にしめて」は身にしみて深くの意で、「しむ」が香の縁語となる。「馴れ」は「袖」の縁語である。香りという消えやすいものが疑いの種となる仕掛けは、薫という人物の設定そのものから生まれている。
また人:ほかの人。ここでは薫。
馴る:親しむ。馴染む。
移り香:衣などに移った香り。
しむ:深くしみこむ。
恨む:うらむ。
- 作者
- 紫式部
- 出典
- 源氏物語
- その他の歌