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秋果つる野辺のけしきも篠薄
ほのめく風につけてこそ知れ

歌の意味
秋が終わる野辺の様子も、篠薄をわずかに揺らす風によってこそ知られる。
鑑賞
第三部 宿木

 匂宮の篠薄の歌に対する中の君の返しである。秋の終わりも風のわずかな気配で知られると述べ、自分の胸のうちも同じように察してほしいと言い含めている。訪れの絶えがちな夫に対して恨みを直接には言わず、景物に託して応じる姿勢は、宇治の姉妹に共通するものである。この後、中の君は男児を産み、二条院での立場をようやく固めていく。

 「秋果つる」は秋が終わることで、「秋」に「飽き」が掛かる。「ほのめく風」はほのかに吹く風で、わずかな気配のことをいう。相手の「篠薄」をそのまま受け、その葉を揺らす風によって季節の移りが知られると返す。目に見えないものは小さな徴によって知れるという理屈で、察してほしいという願いを、控えた言い方のうちに収めている。

秋果つ:秋が終わる。「飽き」を掛ける。

野辺:野原のあたり。

篠薄:細い薄。

ほのめく:ほのかに動く。

つけて:…によって。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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