- 歌の意味
- ありふれた花の色とも見えない。宮中の空まで立ち昇っている藤波の花よ。
- 鑑賞
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第三部 宿木
藤の宴の唱和を締めるのが、紅梅大納言のこの一首である。按察使大納言とも呼ばれる人で、紅梅の巻で娘の縁組を匂宮に打診した過去を持つ。藤の花房が高く立ち昇るさまを讃え、宴の栄えを寿いでいる。四首の唱和はここで結ばれ、以後、物語の目は都の華やかさを離れて、ふたたび宇治へと向かっていく。
「世の常の色とも見えず」はありふれた花の色には見えないということで、薫の歌の「世の常の垣根」と巻の初めと終わりで対をなしている。「雲居」は雲のある空で、宮中をも暗示する。「藤波」は風に揺れる藤の花房を波に見立てた語である。「たち昇る」には、竹取物語の末尾で富士の煙が雲の中へ立ち昇るという記述の響きを見る読みもある。
世の常:ありふれたさま。
雲居:雲のある空。宮中を暗示する。
たち昇る:立ち上がる。
藤波:風に揺れる藤の花房。
- 作者
- 紫式部
- 出典
- 源氏物語
- その他の歌