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憂き世にはあらぬ所を求めても
君が盛りを見るよしもがな

歌の意味
つらいこの世ではない所を探してでも、あなたの盛りの時を見たいものだ。
鑑賞
第三部 東屋

 浮舟の歌に対する母中将の君の返しである。どこでもよいから娘の幸せな姿を見たいという、切実な母心が述べられている。中将の君自身も八の宮に認知されなかった女房であり、その悔しさがそのまま娘への執着になっている。この後、弁の尼の仲立ちによって薫が三条の小家を訪れ、浮舟の運命が大きく動き出す。

 「憂き世」はつらい俗世で、相手の「世の中にあらぬ所」を受けている。「君が盛り」は娘の花の盛り、すなわち幸福に栄える姿をいう。「よしもがな」は方法があってほしいという願望の言い方である。娘の歌が現世からの逃避を願うのに対し、母の歌はこの世での栄えを願っており、二人の向いている方向の違いがそのまま出ている。

憂き世:つらいこの世。

あらぬ所:別の場所。

盛り:花の盛り。最も栄える時。

よしもがな:方法があってほしい。願望。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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