- 歌の意味
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里の名も私も昔のままであるのに、かつて会った人が面変わりしたかと思われる、閨に差す月の光であることよ。
- 鑑賞
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第三部 東屋
弁の尼の歌に対する薫の返しである。ことさら返歌として送ったのではなく、口ずさんだのを侍従が伝えたのだという。宇治という土地の名も自分の心も昔のままなのに、そこにいる人だけが替わっているという嘆きで、東屋の巻はこの一首をもって閉じられる。薫は浮舟に琴や古歌の嗜みがないことを残念に思いながら、それでもなお、大君の面影を宿すこの人を手放せずにいる。
相手の歌の「昔」「月」の語をそのまま受けて返す、型の整った返歌である。「里の名」は宇治の地名を指す。「面変はり」は顔つきが変わることで、大君から浮舟へと人が替わったことをいう。「閨の月影」は寝所に差し込む月の光で、そこに横たわる人がもはや別人であることを照らし出す。宇治十帖を通じて薫が抱え続ける、面影を求める心のありようが、巻末に端的に示されている。
里の名:土地の名。ここでは宇治。
昔ながら:昔のまま。
見し人:かつて会った人。ここでは亡き大君。
面変はり:顔つきが変わること。
閨:寝所。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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