- 歌の意味
- 末長い契りを約束しても、なお悲しいのは、ただ明日をも知れない命であることだ。
- 鑑賞
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第三部 浮舟
薫と浮舟の関係を大内記道定から聞き出した匂宮は、正月の末、供をわずかに連れて馬で宇治へ下った。垣間見のうえ、薫の声をまねて浮舟の寝所に忍び入り、逃れられないままに一夜を過ごさせる。翌日は京へ帰らず居座り、右近が人目をつくろうなか、二人は一日を睦まじく過ごした。その日のうちに詠まれたのがこの歌である。浮舟はこれに返し、二人はさらに一日を共にする。
「長き世」は末長い将来のことで、契りの永続を誓う言い方である。「頼めて」は相手に期待させることをいう。だがその直後に「明日知らぬ命」と続けて、自らの誓いを打ち消す形になっている。情熱的でありながら先を見通さない匂宮の性質がよく出た一首で、実際にこの言葉どおり、二人の関係はほどなく行き詰まっていくことになる。
長き世:末長い将来。
頼む:期待させる。あてにさせる。
なほ:それでもやはり。
明日知らぬ命:明日をも知れない命。
- 作者
- 紫式部
- 出典
- 源氏物語
- その他の歌