- 歌の意味
- これまでにないほど道に迷ってしまいそうだ。先に流れ出る涙が、行く道までも暗くしてしまって。
- 鑑賞
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第三部 浮舟
二日を宇治で過ごした匂宮は、翌朝ようやく京へ帰ることになる。別れを惜しんで詠んだのがこの歌で、涙で道も見えないと訴えている。浮舟はこれに返し、二人は引き裂かれるように別れる。京へ戻った匂宮は中の君を責め、また明石の中宮や薫の見舞いを受けながら、宇治への思いをいよいよ募らせていく。
「世に知らず」は世間に例がないほどの意で、程度の甚だしさをいう。「先に立つ涙」は言葉より先にあふれる涙のこと。「かきくらす」は暗くする意で、涙で目の前が見えないことと、実際の山道の暗さとを重ねている。別れ際の常套の型を踏みながら、道行きの困難さを持ち出す点に、遠い宇治まで通ってきた匂宮の立場が生きている。
世に知らず:世間に例がないほど。
惑ふ:道に迷う。思い乱れる。
先に立つ:まっさきに出る。
かきくらす:真っ暗にする。
- 作者
- 紫式部
- 出典
- 源氏物語
- その他の歌