- 歌の意味
- 年を経ても変わるものだろうか。橘の小島の崎で誓うこの心は。
- 鑑賞
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第三部 浮舟
二月十日、宮中の詩会の夜、薫が浮舟を思って古歌を口ずさむのを見た匂宮は焦りを募らせ、雪を冒してふたたび宇治へ下る。浮舟を抱いて小舟に乗せ、宇治川を渡って対岸の隠れ家へ向かう途中、有明の月の下で舟人が橘の小島に棹をとめた。その常緑の色を見て詠みかけたのがこの歌である。浮舟はこれに返し、その返歌が巻名「浮舟」の由来となる。
「橘」は常緑で、色の変わらぬものの代表として詠まれる。「小島の崎」は宇治川の中州の名で、実在の地名を誓いの証しとして持ち出している。「変はらむものか」は反語で、変わりはしないの意である。舟という不安定な場で永遠を誓うという設定そのものが、この誓いの行方を暗示しており、場面と歌とが一体になっている。
年経:年月が経つ。
ものか:…だろうか。反語。
橘:常緑の木。変わらぬものの象徴。
小島の崎:宇治川の中州の岬。
契る:約束する。
- 作者
- 紫式部
- 出典
- 源氏物語
- その他の歌