- 歌の意味
- 里の名を我が身に引き当てて思えば、山城の宇治のあたりは、いっそう住むのがつらい所だ。
- 鑑賞
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第三部 浮舟
二通の文を前にして、浮舟の胸のうちに浮かんだ一首である。宇治という地名が「憂し」に通じることは古くから詠まれてきたが、いまはそれが自分の身の上そのものになってしまった。薫にも匂宮にも本当のことを言えず、母にも打ち明けられないまま、浮舟はこの地に住み続けるほかない。この日を境に、その心はしだいに死へ傾いていく。
「里の名」は宇治の地名を指す。「宇治」に「憂し」を掛けるのは古今集以来の型で、この巻ではその掛詞が主人公の境涯そのものを言い当てる働きをする。「わが身に知る」は我が身に引き当てて思い知ること。「いとど」はいっそうの意である。地名の語呂合わせにすぎなかったものが、ここでは逃れようのない現実として響いてくる。
里の名:土地の名。ここでは宇治。
わが身に知る:わが身に引き当てて思い知る。
宇治:地名。「憂し」を掛ける。
いとど:いっそう。
住み憂し:住むのがつらい。
- 作者
- 紫式部
- 出典
- 源氏物語
- その他の歌