かき暮らし晴れせぬ峰の雨雲に
浮きて世をふる身をもなさばや
- 歌の意味
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空を暗くして晴れることのない峰の雨雲に、浮いたまま世を過ごすこの身を、いっそ変えてしまいたい。
- 鑑賞
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第三部 浮舟
匂宮の文に対する浮舟の返しである。相手の詠んだ雲と暮れる空をそのまま受け、その雨雲に我が身を変えてしまいたいと述べる。地上に居場所がないという意識がここではっきりと言葉になり、やがて宇治川への入水という考えへつながっていく。匂宮はこの歌を受け取って、なお強く浮舟を自分のもとへ引き取ろうとする。
「かき暮らし」は空を暗くする意で、相手の「空さへ暮るる」を受けている。「浮きて」は宙に浮くことと「憂き」とを掛ける。「世をふる」は世を過ごす意で、「経る」に「降る」を響かせ、雨雲の縁語として働かせている。掛詞を重ねながら、要するにこの世から消えたいという一点を述べており、後の展開をはっきりと予告する一首である。
かき暮らす:空を暗くする。
峰の雨雲:山の上にかかる雨雲。
浮く:宙に浮く。「憂き」を掛ける。
世をふ:世を過ごす。「降る」を掛ける。
なさばや:…にしてしまいたい。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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