波越ゆるころとも知らず末の松
待つらむとのみ思ひけるかな
- 歌の意味
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波が越えるころだとも知らずに、末の松山のようにあなたが待っていてくれるとばかり思っていたことだ。
- 鑑賞
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第三部 浮舟
宇治で薫と匂宮の使者が鉢合わせしたことから、薫は浮舟と匂宮の関係を知る。帰りの道中で思い乱れた薫が、宇治へ随身を遣わして届けたのがこの歌である。心変わりを責める内容に浮舟は衝撃を受け、宛先が違うと言って文を返すほかなかった。山荘には薫の手で警戒の人が置かれ、匂宮の訪れも阻まれることになる。
「末の松山波越さじ」の古歌を踏まえた歌で、末の松山を波が越えることは心変わりのたとえとして用いられてきた。「待つ」に「松」を掛ける。責める言葉はひとつも使われていないが、古歌の型を借りることで相手の裏切りをはっきりと言い当てている。理を尽くして静かに詰めるという、薫らしい追い詰め方である。
波越ゆ:末の松山を波が越える。心変わりのたとえ。
末の松:末の松山。陸奥の歌枕。
待つ:待つ。「松」を掛ける。
とのみ:…とばかり。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- 前の歌
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つれづれと身を知る雨の小止まねば 袖さへいとどみかさまさりて
- 次の歌
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いづくにか身をば捨てむと白雲の かからぬ山も泣く泣くぞ行く