- 歌の意味
- 嘆きに堪えかねて身を捨てるとしても、亡きあとの魂につらい評判を流すことになるのが気にかかる。
- 鑑賞
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第三部 浮舟
右近と侍従が語った、右近の姉の悲話を聞いた浮舟は、いよいよ死を願うようになる。二人の男の板ばさみのまま生き続けても、どちらにとっても嘆かわしい結果になるほかない。それならば自分ひとりが消えるよりないと思い定めながら、なお死後の噂だけが気がかりだと詠んだのがこの一首である。以後、浮舟は文を焼き捨てるなど、静かに身辺を整えはじめる。
「嘆きわぶ」は嘆きに堪えかねること。「身を捨つ」はここでは入水を指す。「亡き影」は死後の魂で、「憂き名流す」は不名誉な噂が広まることをいい、「流す」が川の縁語として入水を暗示している。死を決めながらも世間の目を気にする心の動きが率直に述べられており、宇治十帖の女君たちに共通する、名を惜しむ意識が濃く出た一首である。
嘆きわぶ:嘆きに堪えかねる。
身を捨つ:身を投げる。
亡き影:死後の魂。
憂き名:不名誉な評判。
流す:流す。川の縁語。
- 作者
- 紫式部
- 出典
- 源氏物語
- その他の歌