- 歌の意味
- 亡骸さえもこのつらい世にとどめずにいたなら、どこを墓としてよいかと、母上も恨むことだろう。
- 鑑賞
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第三部 浮舟
死を決意した浮舟のもとへ、京から母中将の君の手紙が届く。何も知らずに娘の上京を心待ちにする文面を読み、浮舟は胸をつかれる。身を投げれば亡骸すら残らず、母は墓所さえ定められないだろうと思って詠まれたのがこの一首である。それでも決意は変わらず、浮舟は匂宮と母にだけ最後の文を書き残すことになる。
「から」は亡骸のことである。「憂き世の中」はつらいこの世で、この巻に繰り返される「憂し」の語がここにも置かれる。「はか」は墓であるとともに、たしかな見当を意味する「はか」を響かせる。「君」は母を指す。自分の死そのものよりも、残される者の困惑を先に思うところに、この人物の気質がよく出ている。
から:亡骸。
憂き世:つらいこの世。
はか:墓。目当て。
君:あなた。ここでは母。
恨む:恨めしく思う。
- 作者
- 紫式部
- 出典
- 源氏物語
- その他の歌