- 歌の意味
- 鐘の音の消えていく響きに私の泣く声を添えて、私の一生は終わったと母上に伝えてほしい。
- 鑑賞
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第三部 浮舟
浮舟が書き残した最後の一首であり、事実上の辞世の歌である。三月二十日過ぎの夜、宇治の山寺から響いてくる鐘の音を聞きながら、自らの命の終わりを母に告げてくれるようにと願っている。翌朝、浮舟の姿は山荘から消え、女房たちは大騒ぎとなる。物語は次の蜻蛉の巻へ移り、残された人々の嘆きと、真相を知らぬままの薫や匂宮の姿が描かれることになる。
「鐘の音」は山寺の暁の鐘で、無常を告げる音として詠まれる。「音を添へて」の「音」は自分の泣き声で、鐘の音と重ねている。「わが世尽きぬ」は自分の一生が終わったの意である。「君」は母を指す。伝言の形をとることで、自分の口からは言えない別れの言葉が鐘の響きに託されており、宇治十帖のなかでも最もよく知られた一首となっている。
鐘の音:寺の鐘の音。
絶ゆる響き:消えていく響き。
音:泣き声。「鐘の音」に重ねる。
わが世:わたしの一生。
尽く:尽きる。終わる。
- 作者
- 紫式部
- 出典
- 源氏物語
- その他の歌