- 歌の意味
- どこに我が身を捨てようかと思いながら、白雲のかからない山でも、泣く泣く越えて行くことだ。
- 鑑賞
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第三部 浮舟
三月二十日過ぎ、匂宮は雪を冒したときと同じように宇治へ下るが、薫の置いた警戒が厳しく、浮舟に逢うことができない。むなしく引き返す帰り道で詠まれたのがこの独詠である。手も届かないところに置かれた相手への執着が、行き場のない嘆きとなってあらわれている。これが匂宮にとって最後の宇治行きとなった。
「身をば捨てむ」は身を投げる、出家するといった意で、思いつめた言い方である。「白雲のかからぬ山」は雲もかからぬ低い山のことで、俗世を離れきれない場所をいう。古歌に詠まれる「白雲のかかる山路」を裏返した趣向である。恋に破れて山へ入るという型を踏みながら、その山さえ雲のかからぬ俗世の山でしかないという点に、この人物の限界がのぞく。
いづくにか:どこに。
身を捨つ:身を投げる。出家する。
白雲:白い雲。
かからぬ山:雲もかからない低い山。
泣く泣く:泣きながら。
- 作者
- 紫式部
- 出典
- 源氏物語
- その他の歌