身を投げし涙の川の早き瀬を
しがらみかけて誰れか止めし
- 歌の意味
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身を投げた涙の川の早い瀬に、柵をかけて誰が私を引き止めたのだろう。
- 鑑賞
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第三部 手習
三月の末、横川僧都の一行が初瀬詣の帰りに宇治院へ立ち寄ったところ、大きな木の下で気を失った若い女が見つかった。僧都の妹尼はこれを亡き娘の身代わりと思って介抱し、一行は比叡山の麓の小野へ連れ帰る。夏の終わり、加持によってもののけが調伏され、浮舟はようやく意識を取り戻した。素性を語らぬまま物思いに沈み、筆の遊びに書きつけたのがこの一首である。
「身を投げし」は入水したことをいう。「涙の川」は涙を川に見立てた歌語で、実際の宇治川と重ねられる。「しがらみ」は水流をせき止める柵のことで、「かけて」「止めし」と川の縁語を連ねる。死にきれず助けられたことを、恨みに近い調子で述べており、生かされた者の当惑がそのまま出ている。手習に書きつけるという形式が、巻名「手習」の由来となっている。
身を投ぐ:身を投げる。入水する。
涙の川:涙を川に見立てた語。
早き瀬:流れの速い浅瀬。
しがらみ:水流をせき止める柵。
止む:引き止める。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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