- 歌の意味
- 月が山の端に入るまで眺めていよう。閨の板間から光が漏れる、そのしるしがあるかと思って。
- 鑑賞
-
第三部 手習
妹尼の歌に対する中将の返しである。月が沈むまで眺めていようと応じつつ、閨の板間から漏れる光にかこつけて、浮舟の姿を見たいという思いをのぞかせている。結局この夜、中将は山荘に泊まることになり、母尼の琴と自らの笛とで夜を過ごした。だが浮舟はついに応じなかった。
「山の端に入るまで」は月が沈むまでで、相手の「山の端近き宿」を受けている。「閨の板間」は寝所の板の隙間で、そこから月光が漏れるという古歌の趣を踏まえる。「しるし」はきざし、効き目のことで、泊まった甲斐があるかという含みを持つ。風流の言葉に恋の意図を紛れ込ませる、贈答の型どおりの返しである。
山の端:山の稜線。
眺む:ながめる。物思いにふける。
閨:寝所。
板間:板の隙間。
しるし:きざし。効き目。
- 作者
- 紫式部
- 出典
- 源氏物語
- その他の歌