- 歌の意味
- 山里の秋の夜更けのしみじみとした趣も、物思いをする人こそが思い知るものだ。
- 鑑賞
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第三部 手習
妹尼の留守中に訪れた中将が、奥へ引きこもった浮舟に差し向けた歌である。あなたも物思いをする人なのだから、この山里の秋の夜の情趣がわかるはずだと言い寄っている。浮舟はやむなくこれに返すが、その返しもまた相手を寄せつけないものであった。この夜、老尼たちのいびきに囲まれて眠れぬまま、浮舟は自らの運命を思いつめていく。
「夜深き」は夜が更けているさまと、趣の深さとを重ねている。「あはれ」はしみじみとした情趣のこと。「もの思ふ人」は物思いに沈む人で、浮舟を指す。相手を物思う人と決めつけることで話しかける口実を作っており、口説きの型としては手慣れた運びである。山里という舞台と秋の夜という時刻が、その口実を支えている。
山里:山あいの里。ここでは小野の山荘。
夜深し:夜が更けている。
あはれ:しみじみとした情趣。
もの思ふ:思い悩む。
- 作者
- 紫式部
- 出典
- 源氏物語
- その他の歌