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木枯らしの吹きにし山の麓には
立ち隠すべき蔭だにぞなき

歌の意味
木枯らしが吹きぬけた山の麓には、身を隠すほどの木蔭さえもない。
鑑賞
第三部 手習

 冬、中将がふたたび小野の山荘を訪れた折の、妹尼の歌である。浮舟が尼となった今、姿を隠して取り次ぐこともできず、山里も葉を落として隠れる蔭さえないと述べている。中将はこれに応じて歌を返し、なおも山荘の梢を見ては通り過ぎがたいと訴えるが、浮舟が心を動かすことはなかった。

 「木枯らし」は冬に木の葉を吹き落とす風で、季節の景であるとともに、浮舟の出家によって家の様子が変わってしまったことを暗示する。「立ち隠すべき蔭」は身を隠すための木蔭で、取り次ぎや隔てのないことをいう。景物によって家の内情をそのまま述べる型がとられており、遠回しに諦めを促す働きをしている。

木枯らし:冬に木の葉を散らす風。

麓:山のふもと。

立ち隠す:身を隠す。

だに:…さえ。

蔭:木蔭。身を寄せる所。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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