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雪深き野辺の若菜も今よりは
君がためにぞ年も摘むべき

歌の意味
雪の深い野辺の若菜も、これからはあなたのために、年ごとに摘むことにしよう。
鑑賞
第三部 手習

 妹尼の若菜の歌に対する浮舟の返しである。これからは自分を助けてくれたこの人のために生きようと述べており、出家後の浮舟がようやく落ち着きを得たことを示している。実の母にも名乗れぬまま、養い親のような妹尼へ向けてこう詠むところに、この人物の置かれた立場が表れている。以後、小野の暮らしは静かに続いていく。

 「雪深き野辺の若菜」は相手の詠んだ景をそのまま受けている。「君がためにぞ」は、あなたのためにこそという強い言い方で、古今集の「君がため春の野に出でて若菜つむ」の型を踏まえる。「年も摘むべき」は年ごとに摘もうということで、長く仕える意を込める。祝いの歌に祝いで応じる、素直で温かい返歌である。

雪深し:雪が深く積もっている。

野辺:野原のあたり。

君がため:あなたのために。

年:年ごと。毎年。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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