法の師と尋ぬる道をしるべにて
思はぬ山に踏み惑ふかな
- 歌の意味
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仏法の師を訪ねて行く道を導きとして、思いもかけない山に踏み迷ってしまったことよ。
- 鑑賞
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第三部 夢浮橋
薫二十八歳の夏。明石の中宮のもとで小宰相の君から横川僧都の話を聞いた薫は、浮舟が生きていることを知り、僧都を訪ねて横川へ上った。事情を明かして面会の仲立ちを頼むと、僧都は出家させたことを悔いながらも、浮舟あての手紙を書く。薫は浮舟の異父弟である小君を伴って山を下り、その一行を小野の山荘から浮舟が見ていた。翌日、薫は小君に僧都の文と自らの文とを託して小野へ遣わす。その文に添えられていたのがこの一首である。浮舟はついに返事を書かず、小君は空しく帰る。
「法の師」は仏法の師で、横川僧都を指す。仏道を求めて山へ入ったはずが、思いもよらぬ山に踏み迷ったという。「思はぬ山」は予期しなかった山で、小野の山を指すと同時に、恋の迷いをも意味する。「踏み」には「文」が掛かり、手紙を届けるこの場面と重なる。求道と恋着とが分かちがたいこの人物を、最後の一首で言い切った歌である。薫が、自分がかつてしたように誰かが浮舟を隠し置いているのではないかと疑うところで、五十四帖の物語は不意に閉じられる。
法の師:仏法の師。ここでは横川僧都。
尋ぬ:訪ねる。探し求める。
しるべ:道案内。導き。
思はぬ山:思いもかけない山。
踏み惑ふ:踏み迷う。「文」を掛ける。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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