明日からは若菜摘まむとしめし野に
昨日も今日も雪は降りつつ
- 歌の意味
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明日からは若菜を摘もうと思って標を立てておいた野に、昨日も今日も雪が降り続いている。
- 鑑賞
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巻第一 春歌上 11
詞書「題しらず」
若菜摘みを主題とする一連の始まりに置かれた歌である。前歌が残雪と草の芽を詠んだのを承け、こちらは若菜を摘もうと決めておいた野が雪に降り込められている情景を詠む。詞書は「題しらず」で、詠作の事情は伝わっていない。
作者の山部赤人(生没年未詳)は奈良時代の歌人で、『万葉集』を代表する歌人の一人である。柿本人麻呂と並び称され、『古今和歌集』仮名序でも和歌の聖として挙げられている。本集では「山辺赤人」と表記されている。
場面は正月の若菜摘みのころ、場所は標を立てた野である。
詠まれた直接の契機は伝わらない。
この歌は『万葉集』巻八に赤人の歌として収められており、『新古今和歌集』はそこから採っている。
初句
二句「明日からは若菜摘まむと」の「む」は意志の助動詞で、明日からは摘もう、という心づもりを表す。若菜摘みは正月の初子の日などに行われた行事で、若菜を食べて健康を願う習わしがあった。
三句「しめし野に」の「しむ」は、標縄や木の枝などで印を付け、その場所を自分のものとして確保することをいう。あらかじめ場所を押さえておいたという事情が一語で示される。
四句「昨日も今日も」は、昨日も今日も、と日を重ねる言い方で、待つ時間の長さを表す。
結句「雪は降りつつ」の「つつ」は継続を表し、言い切らずに余情を残す結び方である。摘みに行けないまま日が過ぎていく、という思いが言外に置かれている。
用意を整えたのに天候に阻まれるという構図は素朴だが、待ちわびる気持ちを直接には述べず、雪が降り続くという事実だけで示している点に万葉歌らしい強さがある。
若菜:春の初めに野に出て摘む、食用の若い草
しむ:標を立てて自分の場所として占める
- 作者
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山部赤人
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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