心あらば訪はましものを梅が香に
誰が袖よりか匂ひ来つらん
- 歌の意味
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気持ちがあるなら尋ねたいものだ。この梅の香は、いったい誰の袖から匂ってきたのだろうか。
- 鑑賞
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巻第一 春歌上 43
詞書「梅花遠薫といへる心をよみ侍りける」
どこからともなく漂ってくる梅の香を主題とする歌である。詞書の「梅花遠薫」は、梅の花が遠くまで香ることの意で、その題によって詠まれた。
作者の「源俊頼朝臣」は源俊頼(一〇五五〜一一二九)である。大納言源経信の子で、『金葉和歌集』の撰者。歌論書『俊頼髄脳』を著した。第六首の俊恵法師は俊頼の子である。
場面は梅の咲くころ、場所は特定されない。
直接の契機は「梅花遠薫」の題による詠である。
本歌は『古今和歌集』春上の「色よりも香こそあはれと思ほゆれ誰が袖ふれし宿の梅ぞも」で、香をたどって人を思うという趣向を受けている。
初句
二句「心あらば訪はましものを」の「まし」は反実仮想の助動詞で、そうする気持ちがあるならば尋ねたいのに、という意になる。実際には尋ねようがない、という含みが「ものを」に置かれている。
三句「梅が香に」は香りの出どころを問う対象を示す。
四句「誰が袖よりか」の「か」は疑問の係助詞で、結びの「らん」の連体形に係る。梅そのものではなく、人の袖に移った香ではないかと疑うところに、本歌からの発想の受け継ぎがある。
結句「匂ひ来つらん」の「らん」は現在推量の助動詞で、匂ってきたのだろう、と結ぶ。
香りだけが届いて姿は見えないという状況が、そのまま人恋しさに転じる構造になっている。前歌が垣根の外から花を見るという距離を扱ったのに対し、この歌では花すら見えず、香りだけがある。距離がさらに遠くなっている。
まし:反実仮想の助動詞。〜であるなら〜のに
ものを:詠嘆を含む接続助詞。〜のになあ
- 作者
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源俊頼
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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