- 歌の意味
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梅の花が香りを移した袖の上で、軒から漏れる月の光が競い合っている。
- 鑑賞
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巻第一 春歌上 44
詞書「百首歌たてまつりし時」
ここから梅の香と月を取り合わせる歌が四首続く。この歌はその一首目で、袖に移った梅の香と、軒から差し込む月光とが同じ袖の上で争うと詠む。詞書の「百首歌たてまつりし時」は正治二年の正治初度百首を指す。
作者の藤原定家は本巻では第三十八首
第四十首に続く三度目の登場となる。
場面は梅の咲くころの夜、場所は軒の下である。
直接の契機は百首歌の詠進である。
初句
二句「梅の花匂ひを移す」は、梅の香が袖に移る、という現象である。香を袖に移すという言い方は、衣に香を焚きしめる当時の習慣とも重なる。
三句「袖の上に」で場所が袖の上という狭い一点に絞られる。大空を舞台にした第四十首と対照的な設定である。
四句「軒漏る月の影」は、軒の隙間から漏れてくる月の光をいう。「影」は光のことである。
結句「ぞ争ふ」の「ぞ」は係助詞で、「争ふ」の連体形が結びとなる。香と光という、本来は競い合うはずのないものを争わせる擬人法であり、この一語に趣向が集約されている。
梅の香を嗅覚、月の光を視覚として捉え、その両方を袖の上という一点に重ねる構成である。第四十首が香りで空全体を霞ませたのに対し、この歌は逆に袖の上へ収斂させており、同じ作者が同じ素材を大小両様に扱っている。
かげ:月や日の光
のきもる:軒の隙間から漏れる
- 作者
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藤原定家
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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