- 歌の意味
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梅の花よ、これは誰の袖が触れた香りなのかと、春は昔のままかと問うたあの月に尋ねてみたい。
- 鑑賞
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巻第一 春歌上 46
詞書「千五百番の歌合に」
梅の香と月を取り合わせる三首目である。二つの有名な古歌を同時に踏まえた本歌取りの歌で、香の主を月に尋ねたいと詠む。詞書によれば千五百番歌合に出された歌である。
作者の「右衛門督通具」は源通具(一一七一〜一二二七)である。内大臣源通親の子で、『新古今和歌集』の撰者の一人。第二十五首の源通光は弟にあたる。
場面は梅の咲くころの夜、場所は特定されない。
直接の契機は歌合への出詠である。千五百番歌合は後鳥羽院が三十人の歌人に百首ずつを詠ませ、それを番えた大規模な歌合である。
本歌は二つある。一つは『古今和歌集』春上の「色よりも香こそあはれと思ほゆれ誰が袖ふれし宿の梅ぞも」、もう一つは在原業平の「月やあらぬ春や昔の春ならぬわが身ひとつはもとの身にして」(『古今和歌集』恋五)である。
初句
二句
三句「梅の花誰が袖ふれし匂ひぞと」は、一つ目の本歌をほぼそのまま用いた部分である。前の第四十三首も同じ古歌を踏まえており、二首が並行する。
四句「春や昔の」は二つ目の本歌の一句を切り取ったものである。業平の歌では春が昔のままではないことを嘆く句であったが、ここでは下の「月」を修飾する形に組み替えられ、あの嘆きを詠まれた月、という意味になっている。
結句「問はばや」の「ばや」は願望の終助詞で、問うてみたいものだ、の意である。
二つの古歌を一首に重ねる作りで、香の主を問うという主題と、時の移り変わりを嘆くという主題とが結び合わされている。梅の香が誰のものかという問いは、昔と今は同じかという問いへと広がっていく。
前の第四十五首が月に問うて答えを得られなかったのに対し、この歌はこれから問おうとする段階にある。二首は同じ相手に向かう問いを、時間差をつけて並べたものと読める。
ばや:願望を表す終助詞。〜したい
にほひ:香り
- 作者
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源通具
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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