古里に帰る雁がね小夜更けて
雲路に迷ふ声聞こゆなり
- 歌の意味
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故郷へ帰る雁が、夜が更けて、雲の中の道に迷っている声が聞こえてくる。
- 鑑賞
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巻第一 春歌上 60
詞書「題しらず」
帰雁の一連の三首目で、夜の雁の声を詠む。前二首が明け方であったのに対し、こちらは夜更けであり、時刻を移して同じ主題が続けられている。詞書は「題しらず」で、詠作の事情は伝わっていない。
作者は「よみ人しらず」とあり、人名は伝わっていない。
場面は春の夜更け、場所は特定されない。
詠まれた直接の契機は伝わらない。
初句「古里に」は、雁にとっての故郷である北の地を指す。人にとっての古里ではない点に注意が要る。
二句「帰る雁がね」の「かりがね」は雁の鳴き声、また雁そのものをいう。
三句「小夜更けて」の「小夜」の「小」は語調を整える接頭語で、夜が更けて、の意である。
四句「雲路に迷ふ」は、雲の中の道に迷う、の意である。実際に迷っているかどうかは見えず、声の乱れからそう聞き取っている。
結句「聞こゆなり」の「なり」は前歌と同じ伝聞推定の助動詞で、声によって判断していることを示す。三首続けて、姿の見えない雁を声だけで捉える詠み方が重ねられている。
かりがね:雁の鳴き声。また雁そのもの
さよ:夜。「さ」は語調を整える接頭語
くもぢ:雲の中の道
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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