- 歌の意味
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忘れるなよ、田の面の沢を飛び立つ雁も。稲の葉を渡る風の吹く、秋の夕暮を。
- 鑑賞
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巻第一 春歌上 61
詞書「帰雁を」
帰雁の一連の四首目である。去る雁に向かって、秋になったらまた戻れと呼びかける。詞書に「帰雁を」とあり、帰る雁を題として詠まれた。
作者の「摂政太政大臣」は藤原良経である。本巻では第一首
第二十三首に続く三度目の登場となる。
場面は春、雁の立つ田の沢である。ただし歌の後半で秋の夕暮に転じる。
直接の契機は「帰雁」の題による詠である。
初句「忘るなよ」の「な」は禁止の終助詞、「よ」は呼びかけの終助詞である。第五十二首の式子内親王歌が梅に「我を忘るな」と呼びかけたのと同じ言い方が、ここでは雁に向けられている。
二句「たのむの沢を」の「たのむ」は前の第五十八首の寂蓮歌と同じ語で、二首が呼応する。
三句「立つ雁も」で対象が定まる。「も」は、雁までも、の含みである。
四句
五句「稲葉の風の秋の夕暮」は体言止めである。春の歌でありながら、結びは秋の景となっている。稲葉は秋に実る稲の葉であり、雁が再び渡ってくる季節を先取りして示している。
春に去る雁へ、秋に帰る場所を思い出させるという構成で、一首の中に春と秋の二つの季節が同居する。第五十八首から続く「田の面」の語が、去る場面と帰る場面をつなぐ役割を果たしている。
たのむ:田の面。「頼む」の音を響かせる
いなば:稲の葉
な:禁止を表す終助詞
- 作者
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藤原良経
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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