- 歌の意味
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霜の乱れ降る空に萎れていた雁の、帰っていく翼に春雨が降っている。
- 鑑賞
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巻第一 春歌上 63
詞書「守覚法親王の五十首歌に」
帰雁から春雨へ移る位置に置かれる歌である。冬の霜に耐えた雁の翼に、今は春雨が降るという時の移りを詠む。詞書によれば守覚法親王家の五十首歌の一つで、第三十八首
第四十首と同じ催しである。
作者の藤原定家は本巻では第三十八首
第四十首
第四十四首に続く四度目の登場となる。
場面は春、北へ帰る雁の飛ぶ空である。
直接の契機は五十首歌の詠進である。
初句「霜迷ふ」は、霜が空に乱れて降るさまをいう。実際には霜は降るものではないが、冷え込みの厳しさを空の景として示している。冬の場面である。
二句「空に萎れし」の「し」は過去の助動詞の連体形で、かつてそうであったことを示す。「萎る」は元気を失う意で、寒さに耐えかねた雁の姿を表す。
三句
四句「雁がねの帰る翼に」で場面が現在に戻り、今まさに北へ向かう翼が示される。
結句「春雨ぞ降る」は「ぞ」の係り結びで、「降る」の連体形が結びとなる。冬の霜と春の雨とが、同じ翼の上で時を隔てて対比される。
翼という一点に冬と春の二つの季節を重ねる構成であり、第四十四首が袖の上に香と光を重ねたのと同じ手法である。同じ作者が場所を変えて同じ組み立てを用いている。
しをる:元気を失う。しおれる
かりがね:雁の鳴き声。また雁そのもの
- 作者
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藤原定家
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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