- 歌の意味
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水面に綾織物のような模様を織り乱している春雨は、山の緑を一面に染めているのだろうか。
- 鑑賞
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巻第一 春歌上 65
詞書「寛平御時きさいの宮の歌合歌」
春雨の一連の二首目である。前歌が軒下の一点を詠んだのに対し、こちらは水面から山全体へと視野を広げる。詞書によれば宇多天皇の御代に后の宮で催された歌合の歌である。
作者の伊勢(生没年未詳)は伊勢守藤原継蔭の娘で、宇多天皇の女御温子に仕えた。第三十九首の中務は伊勢の娘である。
場面は春雨の降るころ、場所は水辺から山を望むところである。
直接の契機は歌合への出詠である。
初句
二句「水の面に綾織り乱る」は、雨粒が水面に落ちて模様を作るさまを、綾織物を織り乱すと捉えたものである。「綾」は模様を織り出した絹織物で、視覚を織物の比喩で示している。
三句「春雨や」の「や」は疑問の係助詞で、結句の「らん」の連体形に係る。ここまでが見えている事実、ここからが推量である。
四句「山の緑を」で視線が水面から山へ移る。手元の細かい模様から、遠くの一面の色へと、規模が一気に変わる。
結句「なべて染むらん」の「なべて」は、一様に、すべてにわたって、の意である。「染む」は織物の縁語で、初句の「綾織り」と呼応する。織ることと染めることという二つの工程が、雨の働きとして一首に組み込まれている。
目に見える水面の模様から、目には見えない山の色づきを推し量る構成であり、第二十六首
第二十七首と同じ、根拠から推量へ進む型を用いている。
あや:模様を織り出した絹織物
なべて:一様に。すべてにわたって
そむ:色を染める。「綾」「織る」の縁語
- 作者
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伊勢
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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