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雨降れば小田の益荒男暇あれや
苗代水を空に任せて

歌の意味
雨が降るので、田の男たちには暇があるのだろうか。苗代の水を空に任せてしまって。
鑑賞
巻第一 春歌上 67

詞書「清輔朝臣もとにて雨中苗代といふことをよめる」
 春雨の一連の四首目で、田仕事を詠む。雨が水を運んでくれるので、農夫の手が空いているのだろうと推し量る。詞書によれば藤原清輔のもとで「雨中の苗代」という題によって詠まれた。第三十四首の作者である清輔は、自邸に歌人を集めて歌の会を催していた。
 作者の勝命法師は平安時代後期の僧で、清輔と交わりのあった歌人である。
 場面は春雨の降るころ、場所は苗代のある田である。苗代は稲の種を蒔いて苗を育てる田で、水を張っておく必要がある。
 直接の契機は「雨中苗代」の題による詠である。

 初句「雨降れば」は確定条件で、雨が降るので、の意である。
 二句「小田の益荒男」の「小田」の「小」は語調を整える接頭語、「益荒男」は力強い男子をいう。ここでは田仕事をする農夫を指す。
 三句「暇あれや」の「や」は疑問の係助詞で、暇があるのだろうか、と問う形になる。「あれ」は已然形で、原因を推し量る言い方である。
 四句
五句「苗代水を空に任せて」は、水の管理を空に委ねてしまって、の意である。ふだんは人が引き入れる水を、雨が代わりに満たしてくれるという事情がここで明かされる。
 本巻の歌の多くが花や月を詠むなかで、この歌は田の仕事を詠んでおり、素材の上で異色である。人の手と自然の働きが入れ替わるという着眼が一首の中心にある。

をだ:田。「を」は語調を整える接頭語
ますらを:力強い男子。ここでは農夫
なはしろ:稲の種を蒔いて苗を育てる田
いとま:手のあいた時間。ひま
作者
勝命法師
出典
新古今和歌集
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