- 歌の意味
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常に変わらない山の岩の根に生す苔の、染めたのでもない緑に、春雨が降っている。
- 鑑賞
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巻第一 春歌上 66
詞書「百首歌たてまつりし時」
春雨の一連の三首目である。前歌が春雨を山を染めるものとして詠んだのを受け、この歌は染めても色の変わらない苔の緑を持ち出す。詞書の「百首歌たてまつりし時」は正治二年の正治初度百首を指す。
作者の「摂政太政大臣」は藤原良経である。本巻では第一首
第二十三首
第六十一首
第六十二首に続く五度目の登場となる。
場面は春雨の降るころ、場所は山中の岩のあたりである。
直接の契機は百首歌の詠進である。
初句「常磐なる」は、いつまでも変わらない、の意である。常緑であることを示す語で、苔の色が季節によらないことがここで前提される。
二句「山の岩根に」は山の岩の根元をいう。三句「むす苔の」の「むす」は、生える、生い茂る意である。
四句「染めぬ緑に」の「ぬ」は打消の助動詞の連体形で、染めたのではない緑、の意になる。前歌の伊勢の歌が春雨を山の緑を染めるものとして詠んだのに対し、この歌はそれを打ち消す形で応じている。二首は「染む」という語を軸に並べられている。
結句「春雨ぞ降る」は「ぞ」の係り結びである。染めることのできない色の上に、それでも雨は降り続ける。雨の働きが及ばないものを描くことで、かえって雨の存在が印象づけられる。
変わらないものと移ろうものを対置する構図は、第十六首の俊成歌が老いた松を詠んだのとも通じる。
ときはなり:いつまでも変わらない。常緑である
いはね:岩の根元。地についた岩
むす:生える。生い茂る
- 作者
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藤原良経
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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