- 歌の意味
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春風が霞を吹き分けた、その絶え間から、乱れてなびく青柳の糸が見える。
- 鑑賞
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巻第一 春歌上 73
詞書「百首歌よみ侍りける時春歌とてよめる」
柳の一連の五首目である。前歌が霞を通して緑を見たのに対し、この歌は風が霞を吹き分けた切れ間から柳を見る。二首が霞と柳の関係を別の形で扱っている。詞書によれば百首歌を詠んだ折の春の歌である。
作者の殷富門院大輔(生没年未詳)は、後白河天皇の皇女である亮子内親王、すなわち殷富門院に仕えた女房歌人である。
場面は春、場所は柳のあるところである。
直接の契機は百首歌の詠進である。
初句
二句「春風の霞吹きとく」の「吹きとく」は、吹いて解きほぐす意である。霞という固まりを、風が解いていくと捉えている。
三句「絶え間より」は、その切れ間から、の意である。第三十五首の「霞の間より」と同じ設定で、狭い隙間から見るという構図が反復されている。
四句「乱れてなびく」は、揃わずに風に揺れるさまである。前の「吹きとく」と呼応し、風が霞を解き、柳を乱すという二つの働きが重ねられる。
結句「青柳の糸」は体言止めである。第六十八首と同じく柳を糸に喩えており、「解く」「乱る」はいずれも糸の縁語として働く。霞を解き、糸を乱すという語の連なりが、一首を糸の縁語で貫いている。
技法の面では、第六十五首の織物、第七十一首の筵に続いて、ここでも布や糸の比喩が用いられており、春の景を織物の語で捉える系列が続いている。
ふきとく:吹いて解きほぐす。「糸」の縁語
たえま:とぎれた間。切れ目
みだる:乱れる。「糸」の縁語
- 作者
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殷富門院大輔
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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