- 歌の意味
-
白雲の切れ間になびく青柳の、その葛城山に春風が吹いている。
- 鑑賞
-
巻第一 春歌上 74
詞書「千五百番歌合に春歌」
柳の一連の六首目である。前歌の「絶え間より」を受けて「絶え間に」と続き、隙間から見える柳という趣向が反復される。ただし隔てるものが霞から白雲に替わっている。詞書によれば千五百番歌合に出された春の歌である。
作者の「藤原雅経」は飛鳥井雅経(一一七〇〜一二二一)である。『新古今和歌集』の撰者の一人で、蹴鞠の飛鳥井流の祖とされる。
場面は春、場所は大和国と河内国の境にある葛城山である。
直接の契機は歌合への出詠である。
初句「白雲の」で高い所の景が示される。柳は水辺の木であるから、白雲と取り合わせると視線が上下に大きく開く。
二句「絶え間になびく」は、雲の切れ間になびく、の意である。前歌の「絶え間より」が見る側の視線を示したのに対し、こちらは柳のある場所そのものを示している。
三句「青柳の」は下の「葛城山」に係る。柳の生えている山、という続き方である。
四句「葛城山に」で場所が定まる。葛城山は大和と河内の境にある山で、古くから神の宿る山として語られてきた。
結句「春風ぞ吹く」は「ぞ」の係り結びである。第七十三首と同じく風が結びに置かれ、二首が並んで風の働きを示している。柳を山の高みに置くことで、水辺の木という通念からずらしている点にこの歌の趣向がある。
たえま:とぎれた間。切れ目
かつらぎやま:大和国と河内国の境にある山。現在の奈良県と大阪府の境
- 作者
-
藤原雅経
- 出典
-
新古今和歌集
- その他の歌
-