荒小田の去年の古跡の古蓬
今は春べとひこばえにけり
- 歌の意味
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荒れた田の、去年の古い跡に残る古蓬が、今はもう春だといって新しい芽を出したことだ。
- 鑑賞
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巻第一 春歌上 77
詞書「題しらず」
ここから野の草を主題とする一連が続く。この歌は荒れた田に残る枯れた蓬が、根元から新芽を出した情景を詠む。詞書は「題しらず」で、詠作の事情は伝わっていない。
作者の曽禰好忠は平安時代中期の歌人である。丹後の掾を務めたことから曽丹と呼ばれた。当時の歌の型にとらわれない詠み方をし、その言動をめぐる逸話も伝えられている。
場面は早春、場所は耕作されていない田である。
詠まれた直接の契機は伝わらない。
初句「荒小田の」は荒れたままの田である。「小」は語調を整える接頭語で、耕作の手が入っていないことを示す。
二句
三句「去年の古跡の古蓬」は「古」の字を重ね、去年のまま残ったものであることを畳みかけて示す。同じ語を繰り返すことで荒廃した感じが強まる。
四句「今は春べと」の「春べ」は春のころ、の意である。「と」は引用で、今はもう春だといって、と草が判断したかのように読ませる。
結句「ひこばえにけり」の「ひこばえ」は、切り株や古い根から出る新しい芽をいう。「けり」の詠嘆が、気づきの調子を添える。
美しい花ではなく、荒れ地の雑草を素材に選んでいる点がこの歌の特色である。枯れたものから新たな芽が出るという生命の動きを、飾らずに捉えている。
あらをだ:耕作されず荒れたままの田
よもぎ:野に生える草。餅などに用いる
はるべ:春のころ
ひこばえ:切り株や古い根から出る新しい芽
- 作者
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曽禰好忠
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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