- 歌の意味
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吉野山では花が今を盛りと咲き匂っているだろうか。こちらの故郷を冷え冷えとさせている、峰の白雪よ。
- 鑑賞
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巻第一 春歌上 92
詞書「題しらず」
桜の一連の十四首目である。前歌が遠くの花を白雲によって推し量ったのに対し、この歌は白雪を目の前に置き、遠くの花を思う。白の見え方が正反対である。詞書は「題しらず」で、詠作の事情は伝わっていない。
作者の藤原家衡は平安時代後期の歌人である。
場面は春、場所は雪の残る古里であり、思いは吉野山に向けられている。
詠まれた直接の契機は伝わらない。
初句
二句「吉野山花や盛りに」の「や」は疑問の係助詞で、結びは三句の「らん」の連体形である。
三句「匂ふらん」の「らん」は現在推量の助動詞で、今ごろは咲き匂っているだろう、の意になる。上の句で遠くの春が推し量られる。
四句「故郷冴えぬ」の「冴ゆ」は冷たく澄む意で、「ぬ」は完了の助動詞である。こちらの古里は冷え込んでしまった、という現在の状態を示す。
結句「峰の白雪」は体言止めで、その冷え込みの原因が最後に据えられる。
上の句が遠くの花、下の句が手元の雪であり、同じ春のうちに咲く場所と凍る場所が並べられる。第九十一首が白雲を根拠として花を推し量ったのに対し、この歌の白雪は花を否定する側に働いており、白という色の扱いが逆になっている。
さゆ:冷たく澄みきる
ふるさと:古びた里。古い都
- 作者
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藤原家衡
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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