尋ね来て花に暮らせる木の間より
待つとしもなき山の端の月
- 歌の意味
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訪ね来て花のもとで一日を暮らした、その木の間から、待っていたわけでもない山の端の月が出た。
- 鑑賞
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巻第一 春歌上 94
詞書「五十首歌たてまつりし時」
桜の一連の十六首目で、花に暮れた一日の終わりを詠む。原文では作者名が改めて記されておらず、前の歌と同じ作者が続くことを示している。詞書の「五十首歌たてまつりし時」は五十首歌を詠進した折の意である。
作者は前歌に続いて藤原雅経である。
場面は春の日暮れ、場所は花の咲く山である。
直接の契機は五十首歌の詠進である。
初句「尋ね来て」は、わざわざ訪ねて来て、の意である。第八十六首の西行歌が「花を尋ねん」と詠んだのに対し、こちらは訪ね着いた後の場面である。
二句「花に暮らせる」は、花のもとで一日を過ごした、の意で、「る」は完了
存続の助動詞の連体形である。
三句「木の間より」で視線が枝の隙間へ向かう。第三十五首の「霞の間より」、第七十三首の「絶え間より」と同じく、狭い隙間から見る構図である。
四句「待つとしもなき」は、待っていたというわけでもない、の意である。「し」は強意の副助詞である。月を待つのは秋の作法であり、春に花を見に来た身にとって月は目当てではなかった、という含みがある。
結句「山の端の月」は体言止めである。求めていなかったものが向こうから現れるという結び方で、第八十二首が花の下に日暮れを迎えたのに続き、花と夜との出会いが二首にわたって詠まれている。
やまのは:山の稜線。山と空との境
し:強意を表す副助詞
- 作者
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藤原雅経
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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