- 歌の意味
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散ったか散らないかも、誰も訪ねて来ない古里の、露に濡れた花に、春風が吹いている。
- 鑑賞
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巻第一 春歌上 95
詞書「故郷花といへる心を」
桜の一連の十七首目である。詞書の「故郷花」は、古里の花、の意で、その題によって詠まれた。訪れる人のない古い里で、誰にも見られないまま花が散っていく情景である。
作者の「前大僧正慈円」は慈円で、本巻では第三十三首に続く二度目の登場となる。関白藤原忠通の子で、天台座主を務めた。
場面は桜の散るころ、場所は人の絶えた古里である。
直接の契機は「故郷花」の題による詠である。
初句「散り散らず」は、散ったか散らないか、の意で、肯定と否定を並べて不明であることを示す。誰も見ていないのだから、そのどちらであるかもわからない。
二句「人も尋ねぬ」で、訪れる者がないことが明示される。第五十四首の八条院高倉歌の「人は訪ひ来ず」と同じ状況であり、梅と桜の一連がともに人の来ない花で閉じられていく。
三句「故郷の」は古い里、旧都である。本巻で繰り返されてきた語が、桜の一連でもここに現れる。
四句「露けき花に」の「露けし」は、露に濡れている、また涙がちである、の意をもつ。花の濡れたさまと、見る者の心細さとが一語に重ねられる。
結句「春風ぞ吹く」は「ぞ」の係り結びである。春風は花を散らすものであり、誰も見ないうちに散らしていく働き手として最後に置かれている。
つゆけし:露に濡れている。また涙がちである
ふるさと:古びた里。古い都
- 作者
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慈円
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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