はかなくて過ぎにしかたを数ふれば
花に物思ふ春ぞ経にける
- 歌の意味
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はかなく過ぎ去った日々を数えてみると、花のために物思いをする春ばかりを重ねてきたのだった。
- 鑑賞
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巻第二 春歌下 101
詞書「百首歌に」
三首目である。前歌が幾年の春を花に費やしたと述べたのを受け、この歌は過ぎた年月を数え返す。二首が同じ主題を続けて扱っている。詞書によれば百首歌のうちの一首である。
作者の式子内親王は後白河天皇の皇女で、賀茂斎院を務めた。巻第一では第三首
第五十二首
第八十三首に現れた。
場面は桜の咲くころ、場所は特定されない。
直接の契機は百首歌の詠進である。
初句「はかなくて」は、頼りなく、あっけなく、の意である。過ぎた時間の質がまず示される。
二句「過ぎにしかたを」の「かた」は方角ではなく、過ぎ去った方向、すなわち過去をいう。
三句「数ふれば」は、数えてみると、の意で、振り返る動作が示される。
四句「花に物思ふ」は、花のことで物思いをする、の意である。「花に」の「に」は原因を表す。花は喜びの対象であるはずだが、ここでは物思いの種として置かれている。
結句「春ぞ経にける」は「ぞ」の係助詞に「ける」の連体形が結びとなる。数えてみれば、そういう春ばかりが積み重なっていた、という気づきである。前歌の俊成が花に憐れみを求めたのに対し、この歌は誰にも呼びかけず、自らの内に閉じて終わる。
はかなし:頼りない。あっけない
すぎにしかた:過ぎ去った時。過去
ものおもふ:思い悩む。物思いにふける
- 作者
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式子内親王
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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