- 歌の意味
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花の色に、空一面を曇らせる霞が立ちこめて、空までも照り映える山桜であることだ。
- 鑑賞
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巻第二 春歌下 103
詞書「祐子内親王家にて人々花歌よみ侍りけるに」
遠望する桜の二首目である。前歌が雲と桜の見分けを問うたのに対し、この歌は霞と花の色が溶け合い、空まで花の色に染まると詠む。詞書によれば祐子内親王の御所で人々が花の歌を詠んだ折の一首である。祐子内親王は後朱雀天皇の皇女で、巻第一の第五十六首の詞書にも現れる。
作者の「権大納言長家」は藤原長家(一〇〇五〜一〇六四)である。藤原道長の子で、御子左家の祖にあたる。俊成
定家はその子孫である。
場面は桜の盛りのころ、場所は山桜の望まれるところである。
直接の契機は花の歌の詠出である。
初句「花の色に」の「に」は原因を表し、花の色によって、の意になる。
二句「天霧る霞」の「天霧る」は、空一面が曇る意である。霞が空を覆うさまが大きく捉えられる。
三句「立ちまよひ」は、立ちこめて入り乱れる、の意である。霞と花の色の境が失われていく。
四句「空さへ匂ふ」の「さへ」は添加を表し、地上だけでなく空までも、の意になる。「匂ふ」は色がつややかに照り映える意で、巻第一の第四十一首
第九十八首と同じ視覚の用法である。
結句「山桜かな」は体言止めで、「かな」の詠嘆で結ばれる。地上の花の色が霞を通じて空へ及ぶという構成は、巻第一の第四十首で定家が梅の香に空を霞ませたのと同じ発想であり、そちらが嗅覚であるのに対し、こちらは色によっている。
あまぎる:空一面が曇る
たちまよふ:立ちこめて入り乱れる
さへ:添加を表す。〜までも
- 作者
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藤原長家
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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