時しもあれたのむの雁の別れさへ
花散るころのみ吉野の里
- 歌の意味
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折もあろうに、田の面の雁との別れまでもが、花の散るころに重なる、み吉野の里よ。
- 鑑賞
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巻第二 春歌下 121
詞書「百首歌めしし時春歌」
前歌に続いて散る花と帰雁を取り合わせる。ただしこちらは、二つの別れが同じ時期に重なることを嘆く。詞書によれば百首歌を召された折の春の歌である。
作者の源具親は源師光の子である。巻第一では第五十七首に現れた。第四首
第七十六首の宮内卿は妹にあたる。
場面は桜の散るころ、場所は大和国の吉野の里である。
直接の契機は百首歌の詠進である。
初句「時しもあれ」は、ほかに時もあろうに、の意で、よりによってこの時期に、という不満を表す言い方である。「し」は強意の副助詞である。
二句「たのむの雁の」の「たのむ」は「田の面」であるが、同時に「頼む」の音を含む。巻第一の第五十八首の寂蓮歌、第六十一首の良経歌にも用いられた語で、三首が同じ語を共有している。
三句「別れさへ」の「さへ」は添加を表し、花との別れに加えて雁との別れまでも、の意になる。二つの別れが重なることが、この一語で示される。
四句「花散るころの」は下の「里」に係る。
結句「み吉野の里」は体言止めである。吉野は巻第一の巻頭歌以来くり返し現れる土地で、本巻でも第百首
第百十四首に現れた。別れの重なる場所として、ここでも据えられている。
ときしもあれ:ほかに時もあろうに
たのむ:田の面。「頼む」の音を響かせる
さへ:添加を表す。〜までも
- 作者
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源具親
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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