麓まで尾の上の桜散り来ずは
たなびく雲と見てや過ぎまし
- 歌の意味
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麓まで峰の桜が散って来なかったならば、たなびく雲と見て通り過ぎてしまっただろうか。
- 鑑賞
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巻第二 春歌下 124
詞書「花十首歌よみ侍りけるに」
散った花によって、遠くの白いものが雲ではなく桜であったと知る、という趣向の歌である。詞書によれば花の十首歌を詠んだ折の一首である。
作者の「左京大夫顕輔」は藤原顕輔(一〇九〇〜一一五五)である。『詞花和歌集』の撰者で、六条藤家の歌学を築いた。巻第一の第三十四首の作者である藤原清輔は子にあたる。
場面は桜の散るころ、場所は山の麓である。
直接の契機は花の十首歌の詠出である。
初句「麓まで」は、山の下のほうまで、の意である。散った花びらが麓まで届いていることが前提として置かれる。
二句「尾の上の桜」の「尾の上」は峰で、前の第百二十二首と同じ語である。
三句「散り来ずは」は、散って来なかったならば、の意の仮定である。
四句
五句「たなびく雲と見てや過ぎまし」の「まし」は反実仮想の助動詞で、「や」は疑問の係助詞である。実際には花びらが届いたので雲ではないと知れたが、もし届かなかったならば雲と思って通り過ぎただろう、という仮定になる。
白いものを雲と見るか花と見るかという主題は、第百二首
第百十五首にも見えた。それらが見分けのつかなさを述べるのに対し、この歌は散った花びらという証拠によって答えが出ており、見分けの主題が解決される形で置かれている。
ふもと:山の下のほう
をのへ:峰。山の高いところ
まし:反実仮想を表す助動詞
- 作者
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藤原顕輔
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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